エンタープライズサーチカンファレンス リポート
SMART/InSight®活用事例とWeb2.0時代のサーチテクノロジー
去る2月22日,サーチテクノロジーのビジネス活用をテーマとした「エンタープライズサーチカンファレンス」(ウチダスペクトラム主催)が開催された。カンファレンス前半では,ムーディーズ ジャパンにおける「エンタープライズサーチプラットフォーム“SMART/InSight®”を活用した情報提供サービスの紹介」,ウチダスペクトラムによる「“SMART/InSight®”の適用分野とその導入に向けて」など,エンタープライズサーチの最新情報についてセッションが行われた。後半では,渡辺聡氏による「エンタープライズサーチ最新動向 ~サーチが開く新しい情報アーキテクチャー~」として,同ソリューションの定義と価値,企業システムにおけるポジションについて示されたほか,サイボウズによる「Feedpath2.0と検索プラットフォーム」と題した同社の運営するWeb2.0を志向したサービス「Feedpath」紹介など,エンタープライズサーチの先進動向についてセッションが行われた。
情報提供サービスの進化を支える「SMART/InSight®」
ムーディーズ ジャパン株式会社における「“SMART/InSight®”を活用した情報提供サービスの紹介」では,ウェブによるクライアント向け情報提供サービスのリニューアルにおいての同社の取り組み,SMART/InSight®がもたらしたメリットについて語られた。
同社はユーザー囲い込みと満足度向上を目的に,テキスト中心だったシンプルな情報配信を進化させ,個々のユーザーニーズに応じて多様な情報を多角的に分析できる動的サービスの提供を目的とした新サービス構築を実現した。そのコアテクノロジーの1つとして重要な役割を果たしているのが“SMART/InSight®”である。
「Web戦略の課題として,パワフルなフィルタリング機能で関連性のあるデータを効率的に収集し可視化できること,個々のニーズに合わせたパーソナルな情報配信が可能なこと,ドキュメントを読むだけでなく分析できること,そして複雑ではなく簡素で使い勝手のいいインターフェースを用意すること,などが重要なポイントであった」と取り組み課題を説明する。
SMART/InSight®を選定した理由については,「高機能かつ高性能な検索エンジンFAST Data Searchを搭載していること,SOA(サービス指向アーキテクチャー)や,.NETなど汎用的なアーキテクチャーをベースに構築されていること,370以上のフォーマットを処理でき,77の言語に対応,メタデータの統合も可能なこと」などを挙げ,メリットとしてのROI,TCO削減効果を説明し,コンテンツの活用機能強化など今後の展開に期待を込めた。
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“SMART/InSight®”の適用分野とその導入に向けて
ウチダスペクトラム株式会社による「エンタープライズサーチ“SMART/InSight®”の適用分野とその導入に向けて」のセッションでは,現在のエンタープライズサーチの適用領域と導入に当たっての留意点などについて語られた。
社内・社外に存在する構造化・非構造化のデータに対するアクセスを行うエンタープライズサーチの特長は横断的にデータを検索,統合できる点にあり,導入によりオフィスワーカーの生産性向上に貢献することを強調した。
具体的には「イントラネットサーチ」,「データベースサーチ(BIサポート)」,「コンビネーションサーチ」の三つの分野での適用が考えられ,それぞれナレッジの発見・活用,誰でもが使えるビジネスインテリジェンスの実現,市場の変化に対する迅速な対応が望めるとした。
また,情報量の増大とユーザーの増加により性能低下問題に直面することが多いRDBのパフォーマンス改善策として,データベースをインデックス化することでDBの負荷を軽減し,利用者が情報にアクセスするためにかかるコストおよび管理コストを削減することが可能である点も指摘した。
今後の機能追加については,Web2.0的なユーザー参加型の「フォークソノミー」や共有型サーチフォルダーなどのユーザー体験の蓄積によりシステムが進化していく仕組みを提供するとし,将来的にはエンタープライズサーチがITインフラの核になっていくであろうとの見方を示した。
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サーチが開く新しい情報アーキテクチャー
カンファレンス後半では,「エンタープライズサーチ最新動向」として,渡辺聡事務所の渡辺聡氏によるセッションが行われた。
渡辺氏は,ネット関連技術とサービスの熟成,ユーザーの「インターネットを使って何かをする」経験の蓄積など,エンタープライズサーチが本格的に利用されようとしている背景を説明した。
エンタープライズサーチの独自要件として渡辺氏が挙げたのは以下の3点だ。
(1)RDBの存在
――検索対象としてはファイルのみならず企業の重要なデータを蓄積するERP,CRMなどの基幹業務系のRDBが中心となる。
(2)セキュリティやアクセス権限
――企業の情報には職務権限がないと見てはならないものも多い。したがってディレクトリやアプリケーションで設定されている参照権限をサーチが引き継ぐ必要がある。
(3)カスタマイズ需要
――業務効率向上のためのエンタープライズサーチであるが,使い方は個別企業によって異なる。カスタマイズがどれくらい柔軟にできるかも重要なポイントとなる。
また,今後の方向性として,エンタープライズサーチが個別のアプリケーションに付加されている検索機能を集約し,統合サーチサービスとして他のアプリケーションのデータ探索と活用のための基盤サービスとなる点を指摘。ESP(Enterprise Search Platform)はシステムやアプリケーションを技術的につなげるのではなく,データと人間をつなげる基盤を提示しているもので,データとサービスを中心にとらえたときに核となる基本機能を提供する新種のミドルウエアであるという見方を示した。
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Web2.0時代のサービスとしての検索プラットフォームの重要性を強調
最後に,サイボウズ株式会社による「Feedpath2.0と検索プラットフォーム」セッションでは,Web2.0志向したサービスとして同社運営によるRSSポータル「Feedpath」が紹介された。
Feedpathはフィード検索と閲覧しているユーザーがコンテンツに自由にタグ付け(フォークソノミー)するタグ検索を組み合わせたサービスであり,Web情報のより効果的な検索,活用を目指している。「Web2.0への進化として,Webの構造変化(HTMLからXML)という質的変化と,Web利用者増大(ユーザー数,データ量の増大)という量的変化があり,Web2.0とはデータベース化,構造化が進むWebであり,それにふさわしサービスが必要になってくる」とし,Web2.0的サービスとしての検索機能,検索プラットフォームの重要性を強調した。
昨年よりガートナーがエンタープライズサーチのセグメントを"Information Access Technology"という呼称に変更したように,サーチはその適用範囲を広げ,質を高めて進化し続けている。2006年はエンタープライズサーチにとって大いなる飛躍の年になることが期待される。
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